「皮切りに」ってたまに使いますよね。
北海道を皮切りに全国ツアーをスタートさせる・・・なんてね。
「手始め」、「物事の最初」くらいの意味なのでしょう。
で、語源がちょっと怖いのをご存知ですか?
皮切りの語源はお灸(きゅう)?
江戸川柳に
「皮切りは女に見せる顔でなし」
というのがあります。
これはお灸をしている男性の様子を読んだものです。
お灸とは、よもぎの葉から作った艾(もぐさ)を皮膚の上で焼き、その熱によって治療するものです。「やいと」とも言いますね。
経穴(ツボ)に温熱刺激を与えて生理状態を変化させ疾病を治療する民間療法で中国医学・モンゴル医学・チベット医学などで行われます。
これがとても熱くて苦痛なんだそうです。
最近では、日本テレビの「ザ!鉄腕!DASH!!」でリーダーの城島茂さんが、度々チャレンジしているのでそんなに苦しいものだとはイメージしていないのではないでしょうか。
皮切りとは?
最初のお灸は、特に熱く感じられてまるで皮を切られているような思いなのだそうです。
この最初のお灸の苦痛をこらえるために、歯をくいしばり、顔を歪めたり、と恐ろしい閻魔様のような顔になるのだそう。
で、昔は、そんな様子を「皮切りの閻魔」と言ったのだそうです。
ここで先に述べた江戸川柳
「皮切りは女に見せる顔でなし」
が読まれるわけです。
お灸をすえている最中は、ひどい顔をしているのだから、女性にみられたくない・・・という江戸っ子のやせ我慢なのでしょうかね。
そこから最初にすえる灸のことを「皮切り」と言うようになりました。
それが転用されて、「皮切り」とは、物事のはじめ・手はじめという意味に用いられるようになったのです。
語源がわかると少し怖いですね。
お灸は怖いもの?
「お灸をすえる」とか「やいとをすえる」と言う言葉が昔はありました。
子供を強く叱る時に使われる言葉で、悪いことをすると背中やおしりにお灸をすえてお仕置き・しつけをすると言うことでしたが、家庭での灸が行われなくなって使われなくなりました。
昔の子供は、親に「お灸をすえるヨ!」と脅されて怖かったでしょうね。なにしろ、皮膚に火を点けるのですから、イタヅラがバレたりしたら、生きた心地がしなかったのではと思います。
何気なく使っている言葉も語源を見るとちょっと怖いと思いました。
最後までお読みいただきありがとうございました。