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「後は野となれ山となれ」の意味・対義語・類義語・使用例・語源・英語ではどう表現するのかを解説しました。
日本語の奥深さに親しみ、その歴史を味わえるかも知れません。
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意味
- 自分のできる範囲の事(やるべき事)をやった、ここから先は、運任せ・人任せだ。なるようになれ、もう知らん!という事。
- 当面の事をするだけの事はしたのだから、後のことは知った事じゃない、という開き直った気持ちで使う。
使用例
- 同僚の〇〇は、引き継ぎもろくにせず、後は野となれ山となれ、と辞めてっちゃった。後任の◻◻は大変だ。
- 報告書は、古いのをコピーして提出した。役に立たないと思うけど、今さらなにもできない。後は野となれ山となれ、でシカトしよう。
この言葉に最終まで責任を持つ気持ちはありません。やけっぱち、やけくそに近い感情でしょう。
類義語
- 先は野となれ山となれ
- 末は野となれ山となれ
- 旅の恥はかき捨て
多くのサイトでこのように書かれていますが、最後の「旅の恥はかき捨て」には、反論があります。
「旅の恥はかき捨て」の意味が、間違ってとらえられているという説があるのです。
対義語
- 飛ぶ鳥跡を濁さず
- 鷺は立ちての跡を濁さず
- 立つ鳥跡を濁さず
- 鳥は立てども跡を濁さず
対義語を相当調べたのですが、鳥にまつわるものしかないんですね。実はあったのに今では失われてしまったのかも知れません。
「飛ぶ鳥跡を濁さず」は、「引き際は美しく、迷惑にならないようにきれいに整理していきなさい」と言う戒めです。
が、「ブラック企業」とか「バイトテロ」などの言葉が言われる昨今では、「後は野となれ山となれ」の精神の方が横行しているのかも知れません。
もしそうなら、悲しいことです。
英語では
- After us the deluge.:大洪水が私達の後に来れば良い
deluge(déljuːdʒ):大洪水、氾濫(はんらん)、豪雨 - I don’t care what happens after this.:この後どうなるか、気にしない
などがあるようです。
語源
「後は野となれ山となれ」の語源は、
近松門左衛門の浄瑠璃(じょうるり)「冥途の飛脚(めいどのひきゃく)」から
飛脚屋の亀屋忠兵衛は客に届けなければならない大金を、ほれ合う遊女(ゆうじょ)梅川(うめかわ)の身請け(みうけ)に使ってしまいます(いわゆる横領)。捕まれば死罪。2人が大坂から大和国へ逃避行しようとする場面の語りが
「栄耀栄華(えいようえいが)も人の金、果ては砂場を打ち過ぎて、跡は野となれ大和路(やまとじ)や、足にまかせて」
この名文句が「後は野となれ山となれ」になったとされています。
難解な言葉を説明します。不要ならとばして、次項にお進みください。
- 浄瑠璃(じょうるり):三味線(しゃみせん)に合わせて物語を語る(歌う)劇場の出し物
- 冥土(めいど):死者が行くとされたあの世
- 飛脚(ひきゃく):信書や金銭などを人力で運ぶこと、また運ぶ人
- 遊女(ゆうじょ):宿場等で男性に性的なサービスをする女性、売春婦
- 身請け(みうけ):売春宿等に金で買われた遊女を、期限前に金で契約を打ち切ること、自分の妻にすることもある
- 栄耀栄華(えいようえいが):富や権力を握っていて栄えていること
語源となった悲しい恋物語を、写真で解説しているサイトがこちらです。
ご興味があればどうぞ。
まとめ
「後は野となれ山となれ」について解説しました。
洗練された日本語を味わっていただければ、うれしいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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コメント
[…] 「旅の恥はかき捨て」が間違った意味で定着した結果、「後は野となれ山となれ」が類義語として定着してしまったようです。こちらもご一読いただけると嬉しいです。 […]